午後3時:5月17日(土)

5月17日午後3時(ベトナム時間)に、こども発達支援研究会主催の対談企画「ニューロダイバーシティの現状と未来」篠宮紗和子先生(University of Exeter)/佐々木銀河先生 (筑波大学人間系准教授)の企画がPeatixであります。

対談のテーマ(Peatixより引用)

「ニューロダイバーシティの現状と未来」では、脳や神経の多様性を尊重し、社会の中で活かすという視点から、発達障害を含む多様な特性への理解と共生のあり方について対話していきたいと思います。登壇者には、筑波大学人間系准教授・佐々木銀河先生と、エクセター大学(University of Exeter)の篠宮紗和子先生をお迎えし、国内外の研究や実践例、そして今後の可能性について深掘りします。企業や教育、まちづくりなど、さまざまな分野で注目されるニューロダイバーシティ。この対談を通して、未来へのヒントを一緒に考えてみませんか?

https://20250517kohaken.peatix.com/

参加登録は無料です。

他の保護者から学ぶこと

私はニューロダイバージェントの親子を支援する立場に置かせてもらっていますが、私自身もニューロダイバースな子どもの成長や環境の変化とともに常に新しい挑戦と向き合っている保護者の一人です。

常に学び続けていても、解決策が見つからないことがあったり、自身の子どもの心配ごとは耐えることがありません。教師として教科担任をしていたときは自分が持っている知識や理解に頼っていられましたが、ニューロダイバースな子どもの発達支援は学校の授業とは違い、チームで他の専門知識を持っている人とお互いに頼り合いながら支援する大切さを実感しています。

私が前に進み続けるための原動力の一つに、他の保護者(特に私の前を歩いている保護者)との交流の時間があります。いままで様々な考え方や気付きをもらいました。時には疲れているときに寄り添ってもらったり、前に進む勇気をもらって帰ってくることもありました。

よくインターナショナルスクールでは、ラーニングサポートの先生から診断がついたら、学校でどのように支援を入れたらよいかわかるように心理教育的検査(Psycho-Educational testing)を受けてくださいと言われます。私もアセスメントの重要性は理解しているのですが、飛行機代や一週間のホテル滞在費に検査費用、それも全額手出しで受けるとなると実際悩みました。

しかし、今日はその迷いを取り除いてくれる考え方を持つ保護者からの学びがありました。それは、診断がついたらEd-Psych Assessment(Psycho-Educational Testingの他の呼ばれ方です)で自分の得意や不得意を把握することで本人が最善な人生ロードマップに乗りやすくなること・選択しやすくなること、また自分の得意を活かしたレールに乗りやすくなることでうつや燃え尽き症候群を減らすことができるということです。学校が終わってからの人生のほうが長いので、できれば早いうちから自分の得意・不得意を理解しておくと、仕事の選択もより自分の得意に合わせた方向に目を向けることができるのではないでしょうか。

“ADHD isn’t something to be fixed – he needs to see this and know that he is perfect just as he is. But yes, a full evaluation will tell him things about his profile that will help him for the rest of his life. It’s the road map that will help him set up his life in the best possible way. If he doesn’t have a clear picture, my fear for him is that he will be a “fish trying to climb a tree” following the crowd, vs. following the path that fits his strengths, and that can lead to burn out and depression. – by a parent of ADHD college student”

子どもはいつかは自立して、私達の手元から巣立っていきます。その時までに、自己理解ができているように、不得意を補う知恵やスキルを教えてあげること、得意を活かせるように、支援を求めることは恥ではないことを理解してもらうように、親としてやれることがたくさんあると他の保護者から気付かされた一日でした。

4月のSENIA Monthly Lunchはタイホー地区のPizza Pomodoroであります。是非参加してみてください。

 

脳の実行機能って?

脳にはオーケストラのコンダクターのような働きを担う実行機能があります。目標を達成するために自分の行動や思考、気持ちを調整する脳機能で、計画を立てたり、環境の変化を読み取って自分をコントロールするなど、さまざまな機能をまとめる脳のコンダクターとも言われています。

ここは25−26歳頃に完成し、脳の機能の中では一番最後に発達する部分です。

あなたも周りに時間にいつも遅刻してきたり、忘れ物をしたり、とっ散らかっている大人はいませんか?反対に、すごい整理整頓が得意な人や、計画するのが得意な人はいませんか?実行機能の弱い部分、強い部分があることによってそれぞれ得意・不得意となってあらわれてきます。実行機能スキルは子どもの人生と学校での成功を予測するとまで言われています。

実行機能のスキルは色々ありますが、基本的なスキルがこちらになります。どれも大切なスキルだと思いませんか?あなたは何が得意で何が苦手でしょうか?ADHDの子どもはこの実行機能が3−4歳ほど遅れて成長していると言われています。同じ年齢の子どもが求められる期待値に届くよう、毎日一生懸命努力をしていることを心にとめておきましょう。また足りない実行機能は、訓練をしたり工夫をしてなるべく本人が生活しやすいように、本人の知識をつけていってあげましょう。

計画を立てる: 計画を立てる、目標を設定する、仕事に優先順位をつける。
整理整頓: 自分の行動を把握し、考えや資料を整理する。
問題解決 新しい状況に適応し、問題を解決する。
注意力: タスクに集中し、注意を払う。
感情のコントロール: 感情や衝動をコントロールする。
自制心: 衝動を抑え、課題に集中する。
ワーキングメモリー: いつ、何をすべきかを記憶する。
柔軟性: ギアを切り替えてタスクをこなす能力。

(それぞれの実行機能スキルがつく時期は年齢によって変わります)

 

社交不安(Social Anxiety)について

4月23日午前8:30からUNISでニューロダイバースな子どもが経験しやすいと言われている社会不安(Social Anxiety)についてお話しがあります。

参加希望の方は、ポスターQRより締切日の午後3時までにお申し込みください。

UNISのキャンパスへはパスポートなど写真付きのIDが必要になりますので、忘れずにお持ちください。

大切なスキル:正中線交差

よく作業療法士やその他の専門家で使われる用語に正中線交差(Crossing Midline)という言葉があります。

この正中線交差・身体の中心を横切るとは何でしょうか?
身体の真ん中の架空の線を横切るように腕や脚を動かすこと、例えば片方の手や足、目をもう片方の位置に動かすことができる能力などです。これは左右の脳の連携を発達させるために重要な動きと言われています。

正中線交差は、赤ちゃんが触覚を通して周囲の世界を探索し始める生後6~12ヶ月頃に出現します。生後6ヶ月から12ヶ月頃になると、触覚(なんでも口にものを持っていこうとするのを覚えていますか)を通して周囲の世界を知るようになり、物を左右に移動させるために正中線を横切るようになってきます。

生後1年間は、8つの感覚すべてが赤ちゃんの粗大運動の発達に関わってきます。この感覚運動の積み重ねは、正中線を越える、両側協調運動、巧緻性、言語能力、手書き文字など、粗大運動能力の発達につながっていきます。

だからこそ、赤ちゃんができるだけ自由に動けるようにすること(バンボやベビーウォーカーなどの使いすぎは避ける)が、正中線を横切るなど、多くの重要なスキルの鍵となってきます。体の動きが制限されるポジションにいつも置かれていることが多い幼児は、体幹の安定性、両側協調性、計画と順序立てのスキル、身体認識、正中線を横切るために重要な手の利き始めなどを発達させるために必要な経験が少なくなり、学校に入ってから読み書きで苦労したり、運動が苦手になったりすることもあります。

こちらで正中線交差(Midline Crossing)のYouTubeをご紹介します。