SENIA Vietnam 夏休みのお知らせ

Affect Pathwaysは地域支援として、主にSENIA Vietnamの活動に参加しています。
インターナショナルスクールのカレンダーに合わせて動いているSENIA Vietnam。
8月の新学年度まで夏休みに入ります。
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今年SENIA Vietnamは、ホーチミンでSENIA国際学会を開催しました。その他、保護者や教師への支援、教育機関へのアウトリーチ活動、地域学会や勉強会、イベントなど様々な支援を行ってきました。
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SENIAの活動はすべて奉仕活動。誰もが生きやすいインクルーシブな環境を作るという志のもと、理事メンバーそれぞれが自身の仕事で多忙な日々を送る中、自分の持っている専門性を活かして活動しています。
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理事メンバーは大学職員、インターナショナルスクールの教師、医師、心理士などいろいろな専門性を持っています。ほとんどの学校があと1〜2週間で夏休みに入り理事メンバーも8月の新学年度までそれぞれ一時帰国をする予定です。
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SENIA Vietnam(特別支援教育ネットワーク・インクルージョン協会)の活動に参加をされたい方は、SENIA Vietnam ホームページへ。個人会員登録は無料です。8月からの新学年度もSENIA Vietnamの活動をどうぞよろしくお願いします。

ニューロダイバーシティシンポジウム

時間が経ってしまいましたが、2023年9月21日都内で千葉工業大学の学長を務める伊藤穰一さんがモデレーターとなり、
脳の多様性を持つ当事者や研究者などが集まるシンポジウムがありました。
ニューロダイバーシティについての理解が深まる大切なステップだと感じます。
日本型ニューロダイバーシティーモデルにはニューロティピカル(普通)と言われている人もダイバーシティーの中の一つのカテゴリーに含まれます。
どれくらい時間がかかるかわかりませんが、自分を普通という人もニューロダイバージェントという人もすべての人が差別なく生きやすい社会になることを願っています。

「ニューロダイバーシティを讃えよう」の動画(1時間51分)をご覧ください。

日本型ニューロダイバーシティーモデルについてはこちらをご覧ください。

発語

自閉症、または知的障がい児の中には、発声はするけれど発語はない、言葉がゆっくり、発語はあるが文章につながっていかない、2−3語は言うけれども発音が曖昧で聞き取れないなど様々な悩みを抱えたお子さんがいます。
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私達が心に留めておかなくてはいけないのは、
「発語がない」=「理解が育っていない」ではないということです。
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他の子どもと比べてしまうと時間がかかることもあるかもしれません。
発語だけに期待をするより、どのようにして考えを表出できるかという表出スキル養成にも力を注ぐことが必要だと思います。
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発語なく大人になる子もいるなか、今は様々なツールが開発されてきています。
ACCデバイス、PECSコミューニケーション、Kobariteアプリ、指差しボードなどいろいろあります。
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こちらはACCデバイスを利用してどのように世界が変わったか、自閉症の女性のインタビューです。
YouTubeの翻訳設定から日本語字幕をつけていただけます。
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Nonspeaking autistic woman embarks on journey to advocate for disability rightsーCBS Mornings
https://www.youtube.com/watch?v=mTECNar9yG4

Multi-Tired System of Support (MTSS)

前回はユニバーサルデザインフォーラーニング(UDL)について触れましたが、今日はUDLとは異なる支援フレームワークMTSSをご紹介したいと思います。

MTSSとは、Multi-Tiered System of Support(多段階支援システム)の略になります。多くの学校が、困りごとを抱えた生徒に対して的を絞った支援を行うために使用している枠組みである。MTSSフレームワーク、MTSSプロセス、MTSSモデルなどと呼ばれることもあります。

MTSSは、学校で苦戦している生徒を早期に発見し、迅速に介入できるように設計されています。MTSSは、「子ども全体」に焦点を当てます。つまり、学業面の成長だけでなく、他の多くの分野もサポートするということである。行動、社会的・情緒的ニーズ、欠席(不登校)などです。UDLとMTSSの両方を取り入れている学校もあれば、MTSSのみのところ、全く枠組みがない学校があります。

MTSSには異なる段階があります。ある段階から次の段階へと、支援の内容は濃くなっていきます。例えば、MTSS Tire 2の子どもは取り出しで小集団で介入を受けていたり、Tire 3になると1対1の個別支援に変わっていきます。すべての学校でMTSSやUDLを取り入れられるリソースがあるとは限りませんが、このような支援の枠組みがあることを知っておいてほしいと思います。

学びのユニバーサルデザイン(UDL)

Universal Design for Learning (UDL)学びのユニバーサルデザインと言う言葉を聞いたことがありますか?

クラスには様々な子どもが学んでいます。目から入る情報を覚えるのが得意な子、手を動かして覚える子、耳で聞くとよく理解する子、常に体を動かしている方が勉強に集中できる子、音楽やリズムが背景にあると集中できる子、その他色々いるかと思います。

様々な子どもたちが自分の能力を発揮できるように学習経験を様々な形で提供できるように考えられたのがこのユニバーサルデザインのガイドラインです。

大まかには3原則に分かれています。こちらについは、秋田比内養護学校のチャンスチャレンジチャンジ28号にて紹介されていたUDLからご紹介します。

〈学びのユニバーサルデザイン(UDL)の3原則〉

1 情報提示に関する多様な方法の提供 ・誰にでも分かる提示方法(言葉による、文字による、画像による、モデルによる提 示)を示す。教師は自分の得意な方法で教えてしまう傾向がある。それが子どもに 合うと限らない。(教師はしゃべりすぎの傾向がある)

2 行動と表出に関する多様な方法の提供 ・子どものもっている知識を表出する方法(イラストで、文章で、質問に答えて、選 択で表現)に多様性をもたせる。子どもの得意な表出方法を引き出す。

3 取り組みに関する多様な方法の提供 ・勉強するときに、静かな場所がはかどる人もいれば、周りに人がいる方が落ち着く 人もいる。学習への取り組み、やる気を維持させる方法は、人によって、その時の コンディションによって違うので、学びやすい環境を用意する。 教室には、最初からいろいろな子どもがいることを前提にして、一つのやり方をみん なで行うのではなく、どの子どもにも分かる授業、効果的な指導を多様に用意する。

〈学びのユニバーサルデザイン(UDL)のキーワード〉

1 オプションの提供:複数の手立てを用意しておくことで、学習者が自分に合っ た方法で学べる。

2 代替手段の提供:必要に応じて、別の方法でも同等の学習にアクセスできる ようにする。(書くことが難しければ、絵で表す)

3 必要に応じた段階的な支援の提供:何らかのスキルを獲得し、自動化するまでの過 程で必要な支援を得られ、かつ、外していける。

ー秋田比内養護学校 特別支援教育専門監通信No28より

授業で一方的に生徒に教えるのではなく、様々な子どもの特性に合わせて教える。これは、教員の知識も大切ですが、学校の人員や学習リソースの確保も課題になってくると思います。自分の能力が発揮できる教室、とても理想的だと思います。

こちらに日本語でわかりやすく学びのユニバーサルデザイン(UDL) が表にされています(Version 2.2) 。現在新しいガイドライン、Version 3.0を作成中です。

学びのユニバーサルデザイン(UDL)に基づいた授業実践についての論文はこちらから