ADHD研究でよく知られているラッセルバークリー博士がいつも講義で言われている「30%ルール」。
今日はこれがどういう意味なのかを説明していきたいと思います。
「30%ルール」とは、ADHDの人は同年齢の発達が定型な人(ニューロティピカルな人)と比べて、実行機能(自己管理に重要なスキル)の発達が約30%遅れているという理論です。たとえば、12歳のADHDの子どもは、実際には8歳半相当の感情的・行動的成熟度である、と言われています。お子さんはどうでしょうか? 年下の子ども達のほうがうまく遊べているということはないですか? 10歳のお子さん、7歳ぐらいと同じ実行機能スキルではありませんか?
ADHDの本質は「実行機能」の欠如とラッセル博士は言っています。実行機能とは、自分をコントロールしたり、時間管理、計画、感情調整などに必要なスキルのことです。
実行機能は解説する人によってタスクの数が変わりますが、内容としては、
1.自己制御 →衝動を抑える、感情のコントロール
2.時間管理 →時間感覚・遅刻回避・締め切りを守る
3.計画と整理 →宿題やタスクの整理・準備・優先順位づけ
4.注意の維持 →集中力を保つ、気が散らないようにする
5.ワーキングメモリ→ 頭の中で情報を保持しながら作業する
という能力です。親は常に30%ルールを頭に入れておくとストレスも少し減るかと思います。
親の対応方法の例としては、
タスクに時間が足りない → +30%で見積もる(10分→13分)
衝動で返信してしまう→ 30秒の考える時間やポーズを入れる
作業に圧倒される→ 30分ごとの小分け作業にする・Pomodoroテクニックを使う
サポートが足りない → 配慮を求める・ツール導入
など、様々あります。
まとめとして、こちらを覚えておきましょう。
1.ADHDの人は「年齢通りに振る舞えない」のではなく、「脳の発達が遅れている」だけ。
2. できないのは怠けではなく、支援が必要な脳の特性。
3.周囲が「まだ30%幼いんだ」と思って接することで、誤解・叱責・ストレスが減る。
もっと詳しく30%ルールについて学びたい方は、こちらのリンクを参照ください。