よく作業療法士やその他の専門家で使われる用語に正中線交差(Crossing Midline)という言葉があります。
この正中線交差・身体の中心を横切るとは何でしょうか?
身体の真ん中の架空の線を横切るように腕や脚を動かすこと、例えば片方の手や足、目をもう片方の位置に動かすことができる能力などです。これは左右の脳の連携を発達させるために重要な動きと言われています。
正中線交差は、赤ちゃんが触覚を通して周囲の世界を探索し始める生後6~12ヶ月頃に出現します。生後6ヶ月から12ヶ月頃になると、触覚(なんでも口にものを持っていこうとするのを覚えていますか)を通して周囲の世界を知るようになり、物を左右に移動させるために正中線を横切るようになってきます。
生後1年間は、8つの感覚すべてが赤ちゃんの粗大運動の発達に関わってきます。この感覚運動の積み重ねは、正中線を越える、両側協調運動、巧緻性、言語能力、手書き文字など、粗大運動能力の発達につながっていきます。
だからこそ、赤ちゃんができるだけ自由に動けるようにすること(バンボやベビーウォーカーなどの使いすぎは避ける)が、正中線を横切るなど、多くの重要なスキルの鍵となってきます。体の動きが制限されるポジションにいつも置かれていることが多い幼児は、体幹の安定性、両側協調性、計画と順序立てのスキル、身体認識、正中線を横切るために重要な手の利き始めなどを発達させるために必要な経験が少なくなり、学校に入ってから読み書きで苦労したり、運動が苦手になったりすることもあります。
こちらで正中線交差(Midline Crossing)のYouTubeをご紹介します。